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​『尾形亀之助詩集より「黄色い雨が降り注ぐ」』

                  (村上かつみ) 

 2,500円+税

 
宮城県出身の詩人「尾形亀之助」の詩にイラストを対峙させた作品です。
​ページごと、イラストと詩が並列されています。

『雨降り』

地平線をたどつて
一列の楽隊が ぐずぐず してゐた

そのために
三日もつづいて雨降りだ

『秋の日は静か』

私は夕方になると自分の顔を感じる

顔のまん中に鼻を感じる

噴水の前のベンチに腰をかけて
私は自分の運命をいろいろ考へた

『昼ちょっと前です』

すてきな陽気です

×

マツチの箱はからで
五月頃の空気がいつぱいつまつてゐる

このうすつぺらな
昼やすみちよつと前の体操場はひつそりして きれいに掃除がしてある

無題

『無題詩』

から壜の中は
曇天のやうな陽気でいつぱいだ

ま昼の原を掘る男のあくびだ

昔――
空びんの中に祭りがあつたのだ

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